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合格請負体験記

目標中学 : 神戸女学院

タイトル : 岡山県の夏帆ちゃん

美しい親子

夏帆ちゃんは頭の良いしっかりもの。初めて会ったときに感じたのがその印象でした。
小さい時から英才教育を施され、音楽はピアノやバイオリンもやりつつ、水泳もバタフライを泳げる文武両立、さらに才色兼備な小学校5年生でした。受験をやめてモデルでも生きていけるのではないかと思うくらいの美貌も持ち合わせ、大きくなるときっとモテるだろうな、と感じる子どもでした。そんな夏帆ちゃんがこれまた美しいお母さんとどうどうと私のところにくるものですから、ここは塾ですよ!と確認のために言いそうになりましたがぐっとこらえてお話を聞きました。

神戸女学院

家から一番近い神戸女学院に入れたいとのことでした。なぜ神戸女学院が良いのかはわからなかったのですが、大学入試を行うには女子でいける一番良い学校であると聞いて来たからだということでした。神戸女学院を大学受験のための学校としてとらえる家庭は多いのですが私は個人的にはそう思っておらず、神戸女学院大学である上位の学校の下部組織として存在する神戸女学院は教員のレベルからして、早晩すたれていくという思いだったので今でも大学入試のための学校としてもそれほどお勧めしていません。しかし、当時もですが、それでも人気の高い神戸女学院への入試は並大抵の努力では合格しない学校でした。

美しさと反比例する強烈な性格

夏帆ちゃんの一番の課題はその強烈な性格でした。自分の思い通りにならないと刃物も振り回すその性格はその美貌とは想像しがたく、お母さんからこの話を聞いた時にはホラ話かと思ったほどです。私の前ではおとなしい夏帆ちゃんは家庭教師の前でもコーディネーターの前でも豹変するときがあり、精神的に一定ではないことが徐々にわかってきたのでした。こんな家庭の合格請負は非常に不安です。私が合格請負を受託するには大前提がいくつかあります。

  • 精神的に落ち着いていて、集中力を発揮する環境と本人の資質がそろっていること。
  • 本人が行きたいという気持ちが明確であること。
  • そこそこの学力

夏帆ちゃんはこの最初の前提に問題がありました。原因は母親の強烈な教育ママとしての言動がそうさせているのは明らかだったので、母親への反抗心が異常に凝り固まっていたからでした。お母さんもそれを理解はしているものの、10年間もその方針できた今までを急に変更することはできないので、プロに任せてお願いしたいということで人づてで私の塾を頼ってきたのでした。ホラ話であると思っていた夏帆ちゃんの豹変を私も確認したくて彼女の燃え盛っている時に家を訪れると般若のお面をかぶった夏帆ちゃんがお母さんに暴言を吐いている姿を見て、「私には無理!」と感じました(笑)。やはり、受験勉強をするには安定した精神状態が継続する環境にないとできません。この枠の中に入ってもらっていない彼女を指導することは私にとっては難しいのです。そこで、私が信頼する心理カウンセラーの池田先生にご登場願うことにしました。

心理カウンセラー池田先生

池田先生は私のカウンセリングも行っている長年お付き合いのある先生であり私のメンターです。池田先生に夏帆ちゃん、またお母さんと診断してもらった結果、親子のかかわり方の模範解答を示してくださり、その処方箋の元、受験勉強を継続する状態を構築していただけました。私はいつも本当に感謝しているのですが、親子の発する言葉から、二人の関係を見破り、お互いの考えと感情を理解し、改善させる具体的な行動を誘導するその力には感動を抑えきれないくらいでした。
池田先生のおかげもあり、夏帆ちゃん親子は穏やかな凪のような状態が始まりました。
穏やかな瀬戸内海を船が心地よく進むように夏帆ちゃんの勉強がはかどり始めました。もともと勉強を強いられてきたからか、頭の良さは十分な彼女に精神的な落ち着きが備わった今、もはや敵はいませんでした。というかその後我々はほぼ何もしていません。2週間に一度、気になっていたので池田先生にお母さんの話を聞いてもらい、必要があれば夏帆ちゃんが池田先生と電話する程度のカウンセリング診断で事は進んでいきました。

公認会計士の青山先生

夏帆ちゃんにとって、4教科受験の神戸女学院において苦手なものは理科でした。そもそも物理も化学も内容が頭に入りにくいというのですが。普段の生活でも必要ないと思っているのか、12歳の子どもにとって一度そうであると思いこむとなかなかイメージが変わらないようでした。テコも水溶液もその単語さえ拒むところはほとんど性格に起因していると我々も考えていました。強烈な性格は勉強においてもかたくななところがあり、悪く言うとガンコ一徹です。いったんこうと決めたら変わらない性格は60歳のガンコジジイそのものです(笑)。
こんな頑固ジジイに理科を教えるには、公認会計士なのに理科の家庭教師をしている青山先生が適任でした。夏帆ちゃんの理科についての思いを青山先生にすべてぶつけて告白してもらったところ、あまりの幼稚な理由が始まりで理科嫌いになっていることがわかりました。それは小さなときに虫の授業を見て気持ち悪くなったからでした。本来それほど好きではない昆虫の図巻をお母さんから見せられ、その写真をさわることもできないくらいの嫌悪感を覚えたそうです。そこがすべての出発でした。しかし、それがわかってしまうと昆虫やいきものは飛ばしてしまい、ゲームのルールとして理科を学ぼう!という方針ができました。そう思えると難しくはなく、生物分野は飛ばして物理と化学を中心に得点ゲームを重ねていけるようになったのです。

受験前の夏帆ちゃん

12月になると、年の師走とともに受験生は一層受験一色になります。塾でも緊張感が高まってきて、志望校をどうするかなど、先生方も一生懸命になります。しかし、池田先生のカウンセリングを受けて精神的に落ち着いた夏帆ちゃん。青山先生のおかげで理科も得意になってきた夏帆ちゃん。時間のある時はピアノとバイオリンをかき鳴らし、日曜日はスイミングに行く夏帆ちゃん。もともと美人で少し近寄りがたい彼女のオーラは小学校6年生のそれとは思えないものが出ていました。精神的に幼い男の子に比較して、夏帆ちゃんの容姿、ふるまい、成績は受験勉強中の生徒たちの中で他を圧倒していました。その環境が一層夏帆ちゃん自身の自信にもつながっていったのだと思います。

学力について

もともと勉強を中心にしていた生活を行っていたので夏帆ちゃんにはある程度の学力はありました。塾の宿題や家庭教師と一緒に質問受けを繰り返すことを行うこと。目標をしっかり作り、勉強する楽しさを体験すると勝手に学力も上がるのです。この状態にすることが我々の仕事であるといつも思います。歩くのは生徒です。その環境づくりが我々の仕事になるのです。

直前になって

模擬試験や公開テストなどありましたが不安な点も少なくほぼ何もせず受験に挑みました。受験当日の朝、夏帆ちゃんがお母さんに「いままでいろいろ迷惑かけてごめんなさいね。たぶん私合格するから安心しててね。じゃ、いってくるから。」と言ったそうです。
刃物を振り回してお母さんを殺そうとしていた1年前から比べると変わりきった夏帆ちゃんにお母さんも非常に驚いたと言ってました。

合格発表当日

受験を終えた夏帆ちゃんは、「もう受かったから!」と帰るなり伝えたそうです。
合格発表も「お母さん見に行ってきて!」と本人はその強烈な性格で見に行くこともせず、今バイオリンを弾いています、と電話報告があったくらいでした。
彼女にとっての受験はお母さんとの関係性が修復されたことと、さらなる自信をつけることのできた楽しいイベントだったのだと思います。

あとがき

受験は勉強さえできれば合格すると考えがちかもしれません。しかし、その合格を確実に実現するには、勉強を行う環境であったり、受験生の精神状態であったりが大事です。同時に学校や塾、家庭など関わっている人たちが同じ思いで受験に挑むことも大事です。どこかが違う考えだとうまくありません。また、陸上の高跳びと同じでジャンプするタイミングがずれるとうまくいかないゲームなので、試験当日に最高の状態になるように持っていく時間軸も大切です。

灘中の合格請負コースの体験談でしたが、あえて書き記したのは、志望校が異なってはいるはものの、精神的な落ち着きが大事であるこや、池田先生などプロのカウンセラーの存在に意味があることなどをお伝えしたくて載せることにしました。

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